これからの時期、石倉渡船の超大型狙いは釣れる

冬になるとよく行く釣り場のひとつ、三重県紀伊長島の石倉渡船へ数日前に行ってきた。

まだ早いかなと思いつつ、様子見だけでもと思い完全冬バージョンの準備と組み立てでやってきた。

朝7時に世界の元さんと自宅を出発して現地に到着したのは11時頃。

船頭さんが現れるのを待って受付を済ませ、どこでもいいと渡してもらったのは湾内中央付近、水深12~13メートルのカセ。

船頭さんの話によるといちど下がりかけた水温がまた上がり、現在約20℃ほどもあるそう。

完全冬バージョンの準備と先述したが、それはこの石倉渡船での場合はダンゴすら持ってきていないということで、釣り始める前から苦戦する予感しかなかった。

しかし釣り場の様子うかがいが目的であり、釣れなくても全然平気の昼からの釣りなのでそこは別段気にすることもなく釣り座のセッティング。

釣り初めた時刻はすでに正午近くになっており日も高く穏やかな晴天で、肌着にニットセーター1枚という格好で気持ちよく過ごせる陽気だった。

あまり期待はしていないとはいえ、いつ一発くるか分からないのが大型狙いの釣りなので、一応YouTube用のカメラをセットして釣り始めた。

タックルは今回二通りセットした。

1本はASRA MAX165D3にライン3号のセットで、もう1本はASRA MAX160F5にライン2.5号のセッティング。

二本竿に挑戦しようと思ったがなかなかめんどくさく、結局ほぼそれはせず交互に使うことになった。

水温が高いということでエサトリが多いことは予想できていたので一切のマキエは行わずオキアミの落とし込みから様子を見ることにするが予想通りサシエは瞬殺される。

しばらくオキアミを中心に、そして時々ボケで同じ釣りを続けるがどうも状況が変わる気がせず、ほぼアタリが確認できないようなエサトリに瞬殺されるばかりだった。

そこでオキアミの上撒きを開始しつつサシエを生ミックやサナギ中心に変更したが今度は全くサシエを触らなくなり、結局それらには最後まで歯形すら付けられることはなかった。

完全にダンゴの状況だが持ってきていないものはどうしようもなく、残るエサでじっくり粘るか瞬殺瞬殺瞬殺の虚しい作業をメゲることなく続けるしかやることはない。

いや広角でボケやオキアミをエサトリのいないエリアにじっと置いて通りかかるチヌを待つという手もある。それももちろんやったが少し足元から離すとボケすら何も触ってこなかったのだ。

まだまだエサトリが多く冬の釣りはさせてもらえないようだが、季節の移り変わりは感じさせる海の様子だった。

天気が良くて気持ちのいい空気だけが救いだったのだが日が傾くにつれ、それさえも許してはくれなくなった。

寒波が近づいてきていてそれに伴った風が強まり、ついには雨まで降りだしてきて薄暗くなるころにはまだ完全防寒装備を纏っていない身体を容赦なく冷やしていった。

この日唯一の山場、唯一のチャンスが訪れたのはその雨がやみ、風もいっとき収まった納竿時刻間際、16時30分頃のことだった。

足元に落とし込んだボケに何やら怪しいアタリが出て、胸で腕組みしていた右手を160F5に伸ばして握る。

するとアワセたくなるような大き目のアタリで穂先が引きこまれる。しかしチヌっぽくはない動きだったためアワせることはなく見送った。

それまで2枚ほどヘダイが釣れたのとムギメシが二つ釣れた以外にはほとんどアタリらしいアタリが出ないようなサシエの取られ方だったので、エサトリの種類が変わったかなと思ったが、そのすぐ次の瞬間に「おっ!」と思わせるカツっと手にくるようなアタリが出る。

そして一呼吸置いたタイミングで大きくはない動きではあったが、ぬわっと穂先をハッキリと押さえ込んだところで思い切りフッキング。

ズドンと重量が伝わり160F5が大きく絞り込まる。

すかさずリールを巻きにかかるが一瞬上手く巻けない。

比較的ローギヤなリールをチョイスしていたがこれはギヤの精度の悪さからくる不具合のように感じる。

無理やり何とかハンドル1周分を巻き取りロッドの根元で一発目の突進をタメて耐える。

しかしその先制攻撃を封じる前にプツッとラインがブレイクしてしまった。

手ごたえは十分だったしアタリから考えても大チヌであることは間違いなかったように思う。

底には牡蠣殻が多く、それまでもそれに始終引っ掛かっていたのでこの時も牡蠣殻を擦りながらフッキグしてラインに傷でも付いたのだろうか、まだまだ耐えられる感触の中でやられてしまった。

こんなことは数えきれないほど味わってきたが、なんど経験しても悔しいものだ。

17時納竿なのでもう時間はなかったし、底でバラしてしまったことから可能性は限りなく低いと思ったがこの時ボケがあと2匹残っていたのでラストの奇跡を信じて急いでハリを結んだ。

僅かな可能性に欠けてボケを落とし込むと雰囲気があり穂先が怪しく揺れる。

はやる気持ちを抑えてじっくり食い込むアタリを待つがなかなかアワせるようなアタリが出ない。

あれほどいたエサトリも姿を消したようでサシエはずっと残っているような気がする。

いったん仕掛けを回収してみるとボケが甘噛みされたように潰れているような気がしたので最後のボケを刺してラスト1投に願いを込めて投入した。

が、その時に迎えの船が近づいてきたのが見えたので投入したばかりの仕掛けを慌てて回収してラインを切った。

しかし私が見た船は迎えの船ではなく、ほかの船だったようだった。

勘違いで仕掛けを切ってしまったが時間も迫っていたので仕方なくそのまま納竿することとした。

もともと超の付く大型を狙ったボーズ覚悟の釣行だったし、季節の移り変わりを確認するための釣りだったので釣れなかったこと自体は想定通りだったが、せっかく掛けたのに捕れなかったことには悔しさがないと言ったら噓になる。

しかしこれだけは言っておきたい。

冬の石倉渡船https://ishikuratosen.com/のカセは超大型チヌを狙うには一級の釣り場である。

そしてその季節はそろそろ到来するであろうと強く感じる釣行であった。